サラ金(サラリーマン金融)と消費者金融

サラ金(サラリーマン金融)と消費者金融

消費者信用産業界における取引形態別分類

消費者金融会社は、消費者信用産業において以下の位置付けになります。

消費者ローンの消費者金融専業会社以外の会社は、本業を持ちながら併営する業態の 1 つとして事業展開する会社が多くあります。

消費者信用産業界における取引形態別分類
消費者信用 消費者金融 消費者ローン 消費者金融専業会社
民間金融会社
信販会社
銀行系クレジットカード会社
流通系クレジットカード会社
量販店(セルフ店)
中小小売商団体
その他個品割賦購入斡旋業者
電機メーカー系クレジットカード会社
自動車メーカー系販売金融業者
信用保証会社
通信販売会社
百貨店
定期預金短期貸付 民間金融会社
郵便貯金預金者貸付 郵便局
動産担保貸付 質屋
販売信用 割賦方式 民間金融会社
ローン提携販売
割賦購入斡旋
提携ローン
非割賦方式 非割賦販売
非割賦購入斡旋

サラ金(サラリーマン金融)の始まり

サラ金(サラリーマン金融)は、1960 年頃に東京と神戸で「団地金融」として始まったと言われます。

1960 年は、日本の戦後復興が終わって池田内閣が所得倍増計画を掲げ、高度経済成長に突入した年であり、以下の象徴的な出来事がありました。

  • 日本ダイナースクラブが設立され、日本初の本格的クレジットカードの発行
  • 丸井が「月賦」の代わりに「クレジット」を使用

団地金融が誕生した背景

団地金融が誕生した背景には、銀行の個人ローンは申込手続が煩雑で、時間が掛かりすぎるため、個人が手軽に融資を受けられなかったということがあります。

これには、銀行が個人よりも法人を顧客としたかったという本音もあります。

そこへ、「即時/小口/無担保・無保証」の団地金融が生まれ、行列ができる程の人気が集まったのです。

団地金融以前の庶民金融

団地金融以前の庶民金融は、質屋が中心でした。

しかし、質草という担保が必要であり、質草の評価額以下しか借りられない質屋よりも、無担保・無保証で簡単に融資が受けられる団地金融の利用者が急激に増えるようになりました。

大量生産・大量販売・大量消費の補完手段として、ローン・クレジット・団地金融が繁栄する時代となったのです。

現金の救急車

団地金融では、銀行で融資を受ける際に必要な担保・保証人・印鑑証明が不要であり、この簡便さが大受けしました。

更に、現金を申込者の自宅や会社などの指定された場所にオートバイで配達して「現金の救急車」と喜ばれました。

業者にとっても、自宅の場所や生活水準を観察したり、会社の在籍を確認したりできるので一石二鳥でした。

当時の公社や公団の入居基準は収入などの条件が厳しかったことから、団地の居住者は優良顧客とされ、「団地金融」と呼ばれるようになったのです。

団地金融の顧客層

団地金融の無担保信用貸は当然、大きなリスクを抱えており、申込者の信用状況や生活水準を見極めることが重要でした。

債権の保全を図ろうとする業者が多かっため、顧客層は上場企業に勤めるエリートサラリーマンにほぼ限定されることとなりました。

適正与信と債権管理という、対人信用の原則が守られていたのです。

サラ金(サラリーマン金融)のマスコミ登場

第 1 次オイルショック(1973 年秋)後の 1975 年頃から、サラ金(サラリーマン金融)がマスコミに取上げられるようになります。

1980 年代初頭までのサラ金は、年利 100 % 近くの高金利で、利用者の支払能力を無視した無差別融資を行って、暴力や脅迫による取立を行っていたため、一家心中や自殺や夜逃げが社会問題となったためです。

この頃は連日、サラ金地獄が報じられました。

サラ金(サラリーマン金融)から消費者金融へ

1970 年代後半から 1980 年代のサラ金(サラリーマン金融)のイメージが悪かったため、サラ金業界はマスコミに対して、「サラ金」ではなく「消費者金融」という言葉を用いるように要請しました。

サラ金業界から多額の広告料収入を得ているマスコミがこれに従ったため、現在は「消費者金融」の方が普及しているようです。

草創期の消費者金融業界

消費者金融連絡会の「TAPALS 白書」に、草創期の消費者金融業界に関する年表が掲載されています。

草創期の消費者金融業界
1959 年 10 月 三洋商事(現・三洋信販)設立
1960 年 3 月 日本クレジットセンター、森田商事「団地金融」開始
丸糸(現・アコム)「勤め人信用貸」開始
1962 年 3 月 関西金融(現・プロミス)設立
1964 年 1 月 パーソナル・リース(旧・レイク)設立
1966 年 1 月 消費者金融協議会「信用情報調査機関」設立
1967 年 4 月 松原産業(現・アイフル)設立
1968 年 6 月 武富士商事(現・武富士)設立
1969 年 1 月 東京プロミス発足
1970 年 5 月 丸糸「現金自動貸付機」設置(大阪・梅田)
1972 年 6 月 「貸金業者の自主規制の助長に関する法律」公布・施行
1975 年 5 月 毎日新聞「サラ金をつく」連載開始
1977 年 10 月 民放連「サラ金」CM 排除申合せ
全国初「サラ金被害者の会」結成
1978 年 2 月 丸高(現・アイフル)設立
10 月 丸糸消費者金融部門がアコムとして独立

消費者金融の 10 年単位の発展

消費者金融業界は、10 年単位で以下のように発展しました。

  • 1960 年代:成長期
    • 質屋に代わり団地金融が生まれて急成長したが、一部の業者を除いて貸付資金の調達が難しかった
  • 1970 年代:混乱期
    • 新規参入が相次ぎ、金融機関も迂回融資で資金を提供する一方、悪徳金融が社会問題になった
  • 1980 年代:氷河期
    • 大蔵省通達による金融機関の融資自粛が起きたり、延滞率の急上昇が生じたりして、堅実経営の業者までもが黒字倒産した
  • 1990 年代:業容拡大期
    • 大手消費者金融が次々と株式公開した
  • 2000 年代:本格競争期
    • 上限金利が 29.2 % に引下げられ、買収や吸収合併により巨大化した大手業者と中小業者の二極化が進みつつある

消費者金融の業界団体

消費者金融の業界団体として、以下があります。

日本消費者金融協会 JCFA の設立

日本消費者金融協会 JCFA は、1969 年に在阪の消費者金融業者 11 社により設立され、現在は専業大手や中堅業者など 110 数社で組織されています。

日本消費者金融協会の設立目的は、以下の通りです。

  • 社会的な義務と権利の確立
  • 業務システムの合理化
  • 労務対策

JCFA の名称は、全米消費者金融協会 NCFA (National Consumer Finance Association) (現在の米国金融サービス業協会 AFSA)にちなんでいます。

日本消費者金融協会 JCFA の金銭教育用教材

日本消費者金融協会 JCFA では、社会貢献事業の 1 つとして 1982 年から、子供の金銭教育用教材を制作して、全国の図書館や小学校に無償提供しています。

  • 本「花子ちゃんの経済タイムトリップ」(1995)
  • CD-ROM「おこづかい KUN」(1997)
  • 本「ネーマワールドの大冒険」(1998)
  • 台本付きビデオ教材「おーい、みんなおいでよ!」(1999)
  • 本「お金は木にならない」(1999)
  • 本「暮らしとお金」(2000)

消費者金融の経営者や営業責任者の資格規制

消費者金融会社は、経営者や営業責任者の名前を 3 年毎に金融庁に申請して、登録を更新しなければなりません。

金融監督庁の調査で、その人物に法律違反が判明すると、登録が取消されます。

実際の例では、大手消費者金融のワールドファイナンスは、1999 年の更新の大株主に出資法違反で罰金刑を受けた者がいたため、登録抹消となりました。

登録が抹消された場合、債権回収業務は行えますが、新規融資はできなくなるので、営業の継続は困難になります。

ただし、前科があっても、刑の執行が終わったり、刑の執行を受けることがなくなった日から 3 年が経過すれば、申請は受付けられます。

アメリカの消費者金融

アメリカの消費者金融は 1900 年代初頭に誕生しましたが、年利 200 〜 500 % だったため、「ローン・シャーク(鮫のようなローン)」と言われました。

当時のアメリカには健康保険制度がなく、利用者の大半は医療費の充当目的だったようです。

その後、以下の法整備が行われました。

  • 1916 年
    • アメリカ金融業協会や全国救済貸付協会などによる法案制定の動き
  • 1918 年
    • 「小口金融法」提出
  • 1968 年
    • 州法の完成を待ち、「消費者信用保護法」制定

アメリカの金利規制

アメリカでは州法により、金利規制があったりなかったりします。
これは、「市場経済が金利を決定する」という考えが浸透しているためです。

現在、アメリカの大手消費者金融会社の主力商品は、以下の 3 つです。
無担保小口ローンの比率は小さくなり、代わりにクレジットカードのキャッシングが利用されています。

  • ホーム・エクィティ・ローン(住宅担保金融)
  • クレジットカード
  • 自動車ローン

クレジットカードについては、利用者の住所ではなく本社の所在する州での金利が適用されるため、多くの消費者金融会社が金利の上限が定められていない州に本社を置いています。

金利と宗教

以下の宗教では、「お金によってお金を得る」ことが認められず、金利への抵抗感が強くあります。

  • ユダヤ教
  • キリスト教カトリック
  • イスラム教

それに対して、

  • キリスト教プロテスタント

では、金利を認めています。

アメリカでクレジット社会が進んだのは、宗教的な論争がなかったことが大きく寄与しています。