キャッシングと法律

キャッシングと法律

利息制限法

通常、何か約束をする場合には、当事者が納得した条件で約束が成立する、ということになります。

しかし、お金の貸借に関しては、「利息制限法」という法律により利息の上限というものが設けられていて、これを超えた部分は無効になります。

従って、金融機関がキャッシングの年利を自由に決めることはできません。

利息制限法の年利の上限

利息制限法では、以下のように年利の上限が定められていて、それを超える年利を設定することはできません。

利息制限法の年利の上限
借入金額 年利の上限
10 万円未満 20 %
10 〜 100 万円未満 18 %
100 万円以上 15 %

これは、金融機関に限らず、個人にも適用されます。

貸主と借主がお互いに納得して年利 100 % と決めたとしても、その契約は違法で、超過分については無効になります。

遅延損害金には上記年利の 2 倍までは有効ですが、超過分については無効になります。

消費者金融の利息の年利

ほとんどの消費者金融は、23.5, 27.0, 29.0 % などの年利で貸付を行っています。

CM や車内広告などで見掛ける有名な大手消費者金融も例外ではなく、これらは利息制限法の上限を超えており、違法となります。

これは、利息制限法に罰則規定がないことが大きな理由ですが、違法な貸付を行っている消費者金融の CM が毎日毎晩流れているのです。

日本弁護士連合会は、「違法な金利で貸付けている消費者金融の CM が許容されていることは異常なことであり、その中止を求める」という意見書を提出しています。

出資法

出資法は、正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といいます。

出資法により、年利の上限は以下のように定められています。

出資法
出資者 1 日当たりの金利 平年 閏年
金融業者 0.08 % 29.2 % 29.28 %
金融業者以外 0.15 % 54.75 % 54.9 %

出資法に違反すると、以下の片方もしくは両方の罰則があります。

  • 5 年以下の懲役
  • 1000 万円以下の罰金

出資法の上限年利の推移

出資法による金融業者の上限年利の推移は、法改正に伴い以下のように段階的に引下げられています。

出資法の上限年利の推移
西暦 上限年利(平年)
1954 年 109.5 %
1983 年 73 %
1986 年 54.75 %
1991 年 40.004 %
2000 年 29.2 %

外国の年利水準

外国の年利水準は以下の通りであり、2000 年の出資法改正はこれらを参考にしたと言われます。

  • フランス
    • 10.92 〜 18.11 %(キャッシングかローンかによる)
  • イタリア
    • 15.96 〜 37.455 %(金額による)
  • アメリカ
    • 7.5 〜 36 %(州による)
  • イギリス・ドイツ・韓国・台湾・タイ・インドネシア・インド
    • 制限はなく、市場の競争原理に任せる

利息制限法と出資法の罰則

利息は、2 種類の法律によって上限が定められています。

  • 利息制限法
    • 罰則なし
  • 出資法
    • 罰則あり

ほとんどの消費者金融は、出資法には違反していないけれども、利息制限法には違反していることになります。

利息制限法の基準元本

利息制限法では、現実に受領した金額が基準元本になります。

利息を天引きされて天引額が年利の上限を超える場合、超過分は元本の支払に充当したものとみなされます。

貸金業者が契約時に、以下の名目で金銭を受取った場合も、利息の先取りとされます。

利息制限法による再計算シミュレーション

100 万円を出資法の上限年利 29.2 % で借入れて、利息のみを毎月払った場合について、利息制限法の上限年利で再計算すると以下のようになります。

利息制限法による再計算シミュレーション
借入年利 29.2 % 利息制限法年利 15 % 過払額 元本残
1 24,800 12,739 12,061 987,939
2 22,400 11,368 11,032 976,907
3 24,800 12,445 12,355 964,552
4 24,000 11,891 12,109 952,443
5 24,800 12,133 12,667 939,776
6 24,000 11,586 12,414 927,362
7 24,800 11,814 12,986 914,376
8 24,800 11,648 13,152 901,224
9 24,000 11,110 12,890 888,334
10 24,800 11,317 13,483 874,851
11 24,000 10,785 13,215 861,636
12 24,800 10,977 13,823 847,813

貸金業規制法

貸金業規制法は、正式名称を「貸金業の規制などに関する法律」といい、内容は以下の通りです。

取立規制については、大蔵省通達があります(省庁名は当時)。

貸金業者の登録制度の導入

貸金業規制法では、貸金業者の登録制度の導入について、以下のように定めています。

  • 貸金業を開業するには、金融再生委員会(各地の財務局)か都道府県知事に申請して、事前登録が必要
  • 3 年毎に登録更新
  • 無登録業者には、以下の片方または両方の罰則
    • 5 年以下の懲役
    • 1000 万円(法人の場合 1 億円)以下の罰金

貸金業者の業務行為に対する規制

貸金業規制法では、貸金業者の業務行為に対する規制について、以下のように定めています。

  • 過剰貸付の禁止
  • 貸付条件の店内掲示と誇大広告などの規制
  • 契約書・受取証書などの書面交付の義務付け
  • 白紙委任状の取得禁止
  • 悪質な取立行為の規制
  • 債権譲渡の規制

貸金業者に対する行政の監督権限

貸金業規制法では、貸金業者に対する行政(金融庁・各地の財務局・都道府県知事)の監督権限について、以下のように定めています。

  • 報告徴収
  • 立入検査
  • 業務停止
  • 登録抹消

貸金業規制法のみなし弁済規定

ほとんどの消費者金融は、出資法には違反していないけれども、利息制限法には違反しています。

これは、貸金業規制法 43 条の「みなし弁済規定」により、制限利息を超えて払った利息も「有効な債務の弁済」とみなされるからです。

「みなし弁済規定」が適用されるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 貸金業者が業務として行う金銭消費貸借契約の利息に基づく支払である
  • 利息として支払っている
  • 貸金業者の強制を伴わず、任意に支払っている
  • 手形交付などの代物弁済ではなく、金銭で支払っている
  • 契約の際に、法律で定められた契約書を交わしている
  • 利息受領の際に、受取証書を交付している

利息の天引

利息の天引とは、あらかじめ元本から利息を差引いた額を貸出すことです。

例えば、200 万円を年利 20 % で貸すときに利息の 40 万円を天引すると、借主が実際に受取る金額は160 万円になります。

利息制限法 2 条に、「天引額が債務者の受領額を元本として前条第 1 項に規定する利率により計算したる金額を超えるときは、その超過分は、元本の支払に充てたものとみなす」と規定があります。

上の例では 160 万円が元本となり、利息制限法の上限年利 15 % で計算すると、利息額は 24 万円になります。

天引額 40 万円との差額 16 万円は元本に充当され、1 年後の返済額は 184 万円になります。

利息の天引とみなし弁済規定

みなし弁済規定が適用されるには、借主が「利息として」「任意に」「金銭を」支払っていなければなりません。

利息の天引はこれらを満たさないので、みなし弁済規定は適用されません。

利息の天引ではなく、以下の名目で費用を徴収した場合も、「みなし利息」とされて同様です。

未成年者の借入契約

未成年者は、原則として法定代理人(一般には両親)の同意を得ずに借入契約を結ぶことはできず、未成年者が締結した借入契約は取消すことができます。

取消せるのは本人および法定代理人で、借入金は残っている範囲で返還しますが、消費分は返還する必要がありません。

ただし、未成年者が年齢を偽っていたら、契約取消はできません。

なお、法定代理人の同意を得なくても、法定代理人の同意を得て営業している場合、営業の範囲内で借入を行うことができます。

親子・兄弟・夫婦の借金

保証人や連帯保証人になっていない限り、親子・兄弟・夫婦の借金でも他の家族に支払義務はありません。

貸金業者が支払義務のない親族に対して支払請求をすることは、以下のように禁止されています(省庁名は当時)。

  • 貸金業規制法に関する大蔵省通達
  • 割賦販売法に関する通産省通達

ただし、夫婦の場合、日常生活で必要な借金については共同責任があるとされることもあります。

貸金業規制法が禁止する取立

貸金業規制法では、以下の取立行為を規制しています。

  • 威迫する言動
    • 暴力的な態度を取る
    • 大声をあげたり乱暴な言葉を使ったりする
    • 多人数で押し掛ける
  • 私生活または業務の平穏を害する言動
    • 正当な理由なく、午後 9 時から午前 8 時まで、その他不適当な時間帯に、電話・電報で連絡したり訪問したりする
    • 反復または継続して、電話・電報で連絡したり訪問したりする
    • 貼紙・落書などで、債務者の借入に関する事実やプライバシーを明らかにする
    • 勤務先を訪問して、債務者・保証人を困惑させたり不利益を被らせたりする
  • その他の行為
    • 他の貸金業者からの借入やクレジットカードの使用などによる弁済を要求する
    • 債務処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知または調停その他の裁判手続きを取ったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求する
    • 法律上支払義務のない者に対して支払請求したり、必要以上の協力を要求したりする
    • 債務者や保証人が調停その他の裁判手続きを取ったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求する
    • その他、正当とは認められない方法によって、支払請求する

これらに違反すると、以下の片方もしくは両方の罰則があります。

  • 6 ヶ月以下の懲役
  • 100 万円以下の罰金

破産法

破産法とは、債務者が債務を完済できない場合に、その財産を換価して債権者に公平に分配し、債務を清算するための手続きを定めた法律です。

破産法
条文 内容
347 〜 357 条 めぼしい財産がない場合の同時廃止
366 条の 2 〜 373 条 免責および復権
374 〜 382 条 詐欺破産罪・過怠破産罪などの罰則

ノンバンク社債法

ノンバンク社債法は、正式名称を「金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律」といいます。

1999 年 5 月に施行され、消費者金融などのノンバンクは、融資資金の調達を目的とした債券やコマーシャルペーパー CP を発行できるようになりました。

債券や CP による資金調達は直接金融と呼ばれ、間接金融(銀行などからの借入)よりも有利な手段となります。